ルルーシュ先生による写真現像講座


 

■01/準備■


「今日はスザクに写真の現像を教えてやる」
「ルルーシュに教えて貰えるのは嬉しいけど、僕現像どころか一眼レフで写真を 撮ったこともないよ?」
「知っている。フィルムは俺が撮り終わったやつを使えば良い」
「え!?げ、現像って手順とか失敗したら、使えなくなっちゃうんだよね!?」
「まあ、そうだな」
「そ、そんなリスキーなことを僕にやらせるの…?」
「何か問題でも?」
「ルルーシュがないなら良いけど…。それにしたって突然だよね。どうしたの? 急に現像を教えてくれるなんて」
「日頃のお礼、と言ったところか。まあ、どちらにしろスザクが緊張することは ないさ」
「お礼?」
「まあな」

*

(傍にいてくれることに、心から感謝を)



















■02/ピッカー■


「フィルム現像に必要なのは大体こんなものだな。店に出しても現像は出来るが、自分でやればタダだ」
「さすが主夫…!」
「うるさい。で、まず始めにフィルムからネガを引き出さなければならない。
使うのがこのフィルムピッカーだ」
「どうやって使うの?」
「いいか、この先端をゆっくり差し込んで…あ、馬鹿乱暴にするな!
そんな無理に押し込んだら…。ああ!止めろ少し待てっ。 …そうだ、ゆっくりやれ。ん…もっと奥まで。 次はここをそっと押して、優しく回すんだ。 …よし、上手いじゃないかスザク」
「………。」
「どうした?まだ次の手順があるぞ?」
「…いや、うん…僕が悪いんだけど僕だけのせいじゃないよね。ルルーシュの言動にも問題があると思うんだ…」
「ん?何の話しだ?」

*

(僕の恋人は、無意識に僕を挑発するのが得意です)



















■03/リール巻き■


「素人にとって現像の手順で一番難しいのは、このリール巻きだな」
「リールってこの金属の渦巻き?」
「ああ、これにさっき出したフィルムの端を引っ掛けて巻きつけるんだ。 しかし光のあるところでこれをやるとフィルムが感光して使い物にならなくなる。ということだから電気消すぞ」
「わっ、真っ暗」
「当たり前だ。ほら、手を貸せ。リールに巻くのは感覚で覚えるのが一番だからな」
「え、ちょ、ちょっと待って!ちちち近いよルルーシュ!
この暗闇でこの密着感は役得っていうより拷問だよ!?」

*

(俺の恋人は、時々わけのわからない言動で俺を困らせる)



















■04/薬品準備■


「…何かおまえ、ひどく疲れてないか?」
「お陰様で…。フィルム三十六枚がすごく長く感じたよ…」
「そうか?まあいい、リールをタンクに入れたらもう電気点けて良いぞ。次は薬品準備だな」
「助かった…」
「…俺はフィルムがもっと長ければ良いと思ったんだがな」
「え」
「…そしたら、もっとスザクに触れたままでいられただろう?」
「る、ルルーシュ…!!」

*

(口実なんていらないから、もっと、ずっと)



















■05/現像■


「で、現像液をタンクに入れたら撹拌する」
「かくはん?」
「ようするにシェイクだ。始めの一分は俺がやるから見てろよ?」
「うん」
「…こう、上下引っくり返すように…振って…」
「…うん」
「ちゃんと…やらないと、現像に…失敗するから…なっ」
「…う、うんわかったよ」
「………」
「ルルーシュ!疲れたなら僕代わるからっ!そんな無理して説明しなくて良いよ!!」
「…っ!うるさい!」

*

(おまえみたいな体力馬鹿に言われたくはない!!)



















■06/水洗■


「現像液、停止液、定着液までの撹拌が終わったら、大体の現像作業は一段落だ」
「あとは何をするの?」
「水洗して後片付けだな」
「水洗って、何分くらい?」
「本水洗が大体五分くらいかな。だからその間に片付けを…」
「あのさ」
「うん?」
「片付け、後回しにしない?」
「は?その間何をするんだ?言っておくが時間を無駄に浪費するのは…」
「キス…は、時間の無駄かな?」
「…っ」
「水洗、終わるまでで良いから…ね?」

*

(もう我慢も限界です)



















■07/乾燥■


「ま、待てスザク!これ以上はここでは…!…ほら、水洗ももう終わったぞ!?」
「ん、もうちょっと…」
「いい加減に離れろっ。でないと現像液ぶっかけるからな!!」
「ひどいよルルーシュ…っ」
「ほら、水洗が終わったらフィルムをリールから取り外して乾燥だ!」
「りょーかい…」
「フィルムに傷を付けるなよ。スザクがそれをやっている間に、俺はコーヒーで も淹れておくから。…そ、そしたら」
「そしたら?」
「………さっきの続き、を…してやっても…良い」
「…っあはは、うん!待ってて、すぐにネガ干すからね!!」

*

(その笑顔が何より好きだとは、死んでも言わないけど)



















■08/後片付け■


「スザク、コーヒー入ったぞ。いつまで眺めてる気だ?」
「…ねえこのネガ」
「うん?」
「僕ばっかり写ってるのは目の錯覚?」
「…さあな」
「もしかして僕、すごく愛されてたりする?」
「確かめたいのなら、ネガを眺めるより先にすることがあるんじゃないか?」
「ほんと、君には適わない…」
「授業料の代わりだよ」

*

(君が満足するまで、たくさんたくさん優しいキスをしてあげる!)

- fin -

2008/7/24

拍手・その3