文章修行家さんに40の短文描写お題



 01. 告白
 02. 
 03. 卒業
 04. 
 05. 学ぶ
 06. 電車
 07. ペット
 08. 
 09. おとな
 10. 食事
 11. 
 12. 
 13. 女と女
 14. 手紙
 15. 信仰
 16. 遊び
 17. 初体験
 18. 仕事
 19. 化粧
 20. 怒り
 21. 神秘
 22. 
 23. 彼と彼女
 24. 悲しみ
 25. 
 26. 
 27. 芝居
 28. 
 29. 感謝
 30. イベント
 31. やわらかさ
 32. 痛み
 33. 好き
 34. 今昔(いまむかし)
 35. 渇き
 36. 浪漫
 37. 季節
 38. 別れ
 39. 
 40. 贈り物


                                    ≫ 配布元:文章修行家さんに40の短文描写お題

























 01. 告白  【ゼロ】 

黒い銃がこの胸に突きつけられる。
この瞬間を、ずっと待っていた。
迎撃準備は出来ている。
聞きたいのは甘い言葉。
おまえからの、愛の囁き。




 02.   【スザルル】

「本当は気持ち良いんだよね?」

スザクはくすりと微笑んで、意地悪く喉元を咬んだ。
痛みに上げた声は、虚しくシーツの波に呑まれて消えた。




 03. 卒業  【ミレイ】

祝福の賛辞は聞こえない振りをした。
けれどこのモラトリアムの終焉が彼の笑顔で飾れるのなら、それもまた良し。
私は少し笑って手を振った。




 04.   【リヴァル】

そう、これは地図のない旅。
ただ前進あるのみ。
右も左もわからぬまま、俺は愛車のグリップをきつく握る。
額を伝う冷や汗なんて気のせいだ。




 05. 学ぶ  【子スザク】

妹、苺、子犬、読書。
一つずつ、彼が好きなものを並べてみた。
それから嫌いなものと、彼の癖。
知らないのは、ルルーシュのキスの仕方だけ。




 06. 電車  【ナナリー】

少女は必ずそちら側の席に座りたがる。
そして盲いた瞳をじっと壊れた街に注ぐのだ。
盗み見たその横顔は、思わず畏怖を抱く程凛としていた。




 07. ペット  【スザ←ルル】

俺の可愛いパブロフの犬。
小さな呟きを、彼は知らない。
幸せそうに手料理を頬張る愛しい姿を眺め、俺はデザートの準備のために席を立った。




 08.   【ルルーシュ+c.c.】

「知っているか?ルルーシュ」
「何をだ」
「そういう行為は、雨の日の水遣りと言う。虚しいだけの、優しさだ」
「…知っているさ、性悪め」




 09. おとな  【子スザ→大人ルル】

子供と大人の境界線は、珈琲が飲めるか否かだ。
そう言った俺の髪を優しく撫でた彼は、あの時すでに大人だったのだ。
例え角砂糖が三つでも。




 10. 食事  【c.c.】

「私は空腹だマリアンヌ。
誰かの為の正義も、捨てきれない執着も、そんなんじゃ足りないのさ。
…そう、私が欲しいのはあいつの甘い涙だよ」




 11.   【シャーリー】

彼の優しい呼び声は、私をひどく悲しくさせる。
貴方の目をそらすほどの引力を持つ、その声が。
置き去りにされた本を、私はそっと慰撫した。




 12.   【スザルル】

雨が、決してやまなければいいのに。
言葉にしない祈りは同じだったのに、無情にも美しい虹が、空に。
僕らの願いは、叶わないのだと知った。




 13. 女と女  【ユーフェミア・ナナリー】

少女と女に境界線はない。
私も、そして彼女も。
ちらりと見合った視線の先で火花が散る。
微笑みの裏側に気づかないのは、恋も知らぬ彼一人。




 14. 手紙  【スザク】

銃を持つことすら叶わなかった指に、鉛筆だけを握らされた。
彼らの顔を思い出して、苦笑する。
結局、支給された紙と封筒は千切って捨てた。




 15. 信仰  【スザルル】

「隣人を愛せだなどと、寝言は言わない。目には槍を、歯には鉄槌をくれてやれ。おまえはただ俺を見て、俺だけを信じていろ」
「Yes,My got」




 16. 遊び  【スザルル】

沈黙は、同意。
カーテンの裏に引き寄せた痩躯が、踊るように翻る。
二人は笑い、風が強く吹いた。
多分、あれが僕たちの最後の戯れだった。




 17. 初体験  【ルルーシュ】

震える脚を、けれど開いたのは自分だった。
彼を手に入れる為なら、苦痛も恥辱も厭わなかった。
いつかすべてを失くすと、知っていたから。




 18. 仕事  【カレン】

彼は指を動かすだけで良い。
それを敬い、従い、尽くし、守る。
女王蜂になり得るのは、彼以外いないのだから。
私は膝を折り、下僕になろう。




 19. 化粧  【シャーリー】

何故だか涙が溢れて止まらない。
ただマニキュアが上手く塗れなかっただけなのに。
いつか誰かが褒めてくれた気がする、ピアニィ・ピンク。




 20. 怒り  【幼少スザク】

彼は赤くなる頬を押さえもしなかった。
痛む手を握りしめると、不意に涙が落ちた。
本当に伝えたかったことは、もっと違うことだったのに。




 21. 神秘  【ルルーシュ】

彼は美しすぎる死神だ。
彼の触れる全ては息を顰め、彼に魅せられる。
花の蕾も、穏やかな春の風も。
そして僕ですら。
世界が彼に染まるのだ。




 22.   【スザク・ユフィ→ルル】

「スザクは本当にその人が好きなんですね」
「はい」
「でも不思議ね。なんだか私がとても好きだった人と似ている気がするのよ、そのお友達」




 23. 彼と彼女  【扇】

彼は嘘が嫌いだった。
だから彼女が記憶を取り戻した時、本当に良かったと、遠くなる意識の中で思った。

(愛しています、名も知らぬ貴方…)




 24. 悲しみ  【カレン】

喉が千切れる程叫んで、爪で空を切るように手を伸ばす。
踏みつけた花さえ顧みず、ただ追いかけた。
けれど、ああ。
虹が、虹が消えてしまう。




 25.   【幼少スザ←ルル】

その手は泥と汗でひどく汚れていた。
掌の熱さに惑ったのは、一瞬。
何故だかそれがどうしようもなく尊く思えて、涙が出てしまいそうだった。




 26.   【マリアンヌ】

腕に抱いた娘に伝えたい言葉があった。
けれども次第に冷えてゆく唇が、上手く動かない。
吐息のような呟きでは、る、まで発音出来なかった。




 27. 芝居  【スザクorルルーシュ】

甘い香りの残るベッドに、月明かりだけが淡く映えている。

「嘘つき」

半身を起こした青年は、相手の安らかな寝息を耳にして、小さく呟いた。




 28.    【スザク】

心はこんなに彼が欲しいと叫ぶのに、この足は地面を蹴らずこの腕は泥にまみれて君を抱けない。
煩わしいと思う重力に、けれど僕は安堵した。




 29. 感謝   【ルルーシュ】

「せめて最後に杭を穿ってくれた事に感謝しよう。 これで二度とおまえを忘れることはないだろう。
…例え、おまえを愛したことは忘れてもな」




 30. イベント  【スザク】

花火、綿菓子、林檎飴。
見せたいものが山ほどあった。
彼の唯一の我儘は、馬鹿みたいに些細な願いだったのに。
叶わなかった、あの夏の約束。




 31. やわらかさ  【大人ルル→子供スザ】

青年は、穏やかな寝息をたてる少年の頬を優しく撫でる。
その柔らかさに、ふとした衝動。
密やかなキスを知るのは、綻びかけた桜の蕾だけ。




 32. 痛み  【ルルーシュ】

射るような視線を感じながら、彼に背を向けて歩き出す。
冷たい廊下には靴音だけが残された。
強く掴まれた手首だけが、まだ熱を孕んでいた。




 33. 好き  【大人ルル→子供スザ】

その眩しい笑顔に、紅くなった顔を思わず背けた。
整わない鼓動に苛立ち、舌打ちをする。
俺が落ちたんじゃない。
恋が勝手に落ちてきたんだ。




 34. 今昔(いまむかし)   【colors成長編】

昔は憧憬の対象だった。

「だから、あれは恋だったんだと思うんだ」
「ほう、ならば今はなんだと?」
拗ねた表情すら愛しい今は。
「愛、だよ」


 35. 渇き  【スザク】

唾液に濡れた口元が、ゆっくりと乾いていく。
惜しむ様に、そっと触れた。
荒れた唇に、彼の口づけだけが鮮明で、そこに酷く熱を残していた。




 36. 浪漫  【ルルーシュ】

世界が変わるのは簡単だった。
彼がいる。
それだけで、世界は色づいた。
忘れないと誓ったのは、別れ際痛いほど抱き締められた、あの強さ。




 37. 季節  【ナナリー】

きっと世界は変わらない。
誰がいてもいなくても。

「変わり続けていくことだけが確かで、普遍なんですもの」

強い風を受けて、少女は言った。




 38. 別れ  【スザク】

世界を変えるのは簡単だった。
彼がいない。
それだけで、何もかもが色を失くした。
思い出すのはいつだって、最後僅かに揺れた、アメジスト。




 39.   【スザルル】

痛みに仰け反った君の首が、薄暗がりの中でも痛いくらい眩しくて、思わず目眩。
弾けた君の涙と、かすかな血の匂いに、僕は確かに欲情した。




 40. 贈り物  【スザク】

黒い銃を構える。
この恋は、終わりの始まりだと僕らは知っていたけれど。
とどまる術なんて、知らないから。
この弾丸を、君に。
愛を込めて!